長寿化が進み、高齢者が増加している日本。一方で、若年層が減少し、歴史的なインフレに加え経済成長も見込めない状況の中、年金財政は極めて厳しくなっています。そのため、高齢者が働き続けるケースが増えています。
年金で悠々自適な生活が送れる時代は、もはや夢物語となってしまったのでしょうか。極論すれば、現在の日本は「死ぬまで働け」と言われているような社会です。この状況が本当に良いのか、また、工夫しながら働き続けることで心身ともに豊かな生活を送ることができるのか、検証していきたいと思います。
高齢者が働き続ける今の日本社会
最近、私はタイミーの単発バイトに応募し、よく働きに行っています。その中でも「マンション清掃」の仕事を頻繁に選んでいます。そこでお会いする方々の多くは、おそらく高齢者の方々です。特に清掃の責任者は「65歳以上ではあると思うし、もしかしたら75歳以上(後期高齢者)の方かもしれない」と感じることがよくあります。他のスタッフの方々も高齢者が多いです。
私が行う清掃の単発バイトは、だいたい3〜4時間程度で、時給は1200円前後です。半日働いて交通費を含めても、5000円前後の収入になります。仮にこの金額で週5日働いたとしても、月に10万円を少し超える程度です。
年金受給者であれば、これにプラスされる10万円が生活の足しになるでしょう。しかし、そもそも65歳を過ぎても働かなければならないのはなぜでしょうか?それにしても、一緒に働いた方々は精力的で、積極的にゴミ整理や清掃業務に取り組み、私にも親切丁寧に教えてくださいました。
また、ある記事によると、77歳の後期高齢者の女性が1日8時間、養護老人ホームで働いている例があります。この女性は施設の掃除や洗濯などに従事しており、月にわずか4万円の年金だけでは生活費を賄えません。このため、仕事で月に16万円の収入を得て、基本的な支出をカバーしているそうです。
日本は世界でも有数の長寿国であり、平均寿命は男性で81歳、女性で87歳です。高齢化が進む一方で、少子化が進み若い人が減少し、年金制度にますます負担がかかっています。
日本の年金制度の限界
岸田文雄首相の退陣表明を受け、この9月に行われる自民党総裁選では、年金問題が間違いなく争点の一つになるでしょう。各立候補者たちは、生活費の上昇が有権者、とりわけ高齢者にどのような影響を与えているかを意識する必要があります。これまで政府は若い人向けの政策、特に「少子化対策」を優先させる傾向がありましたが、高齢者の問題も非常に重要です。
経済協力開発機構(OECD)によれば、日本では65歳以上の国民の5人に1人が貧困状態にあるとのことです。このデータはインフレ前のもので、OECD加盟国の平均は14.2%です。日本の約20%が貧困状態にあるのは、先進国としては非常に厳しい状況です。
高齢者が年金収入だけで生活するのは難しい現状があります。厚生年金保険の平均支給額は月14万4982円で、2人以上の世帯の生活費の半分強にとどまっています。対照的に、アメリカ合衆国の平均年金支給額は推定で1907ドル(約27万4000円)であり、日本の倍近い額です。(米社会保障庁 SSA 2024年1月)
アメリカは一見、社会保障に対して厳しい印象があるかもしれませんが、年金支給額を見る限り、日本よりも高齢者へのサポートが手厚いと感じられます。
日本の公的年金制度をめぐっては、少子化により加入者が減少する一方で、受給者は増加しています。厚生労働省によると、過去20年間で公的年金の被保険者数は約300万人減少したのに対し、受給者数は40%以上増加しています。
年金支給開始年数を繰り上げる?
先に紹介した77歳の女性のように、日本では他の先進国で引退を決意する年齢をはるかに超えて働く人が増えています。OECDによると、65~69歳および70~74歳の日本人男性の労働参加率が上昇しており、特に70~74歳の労働参加率は2023年に43.3%に達し、20年前の29.8%から大幅に増加しています。20年前でも3割の高齢者が働いていたことは驚きですが、現在では半分に迫る勢いです。一方、アメリカでは22.4%、OECD平均では17.3%と、日本よりはるかに低い状況です。
他国と比べて、日本の福祉制度は破綻しているのでしょうか?北欧諸国のように手厚い福祉制度が整った国が羨ましく思いますが、人口が少ない北欧諸国で実施されている制度が、1億人を超える日本で同様に実施できるかどうかは非常に微妙です。
それでも、年金制度の維持は必須です。そのため、政府は国民に対して「現役生活の延長」を正式に求める必要があるかもしれません。しかし、政府の怠慢により国民に我慢を強いるのは不公平です。また、「支給開始年齢の引き上げ」も考えられます。例えば、年金支給開始年齢を65歳から70歳に繰り上げることで、年金支給額を維持しようとする動きが予想されます。
さあ、働き方改革するしかなさそうだ!
マイナス面ばかりを指摘しても仕方がないので、働くことで得られるプラスの面についても考えてみましょう。
高齢になっても働き続けるメリットとして、まず生きがいや仕事を通じたコミュニティへの帰属意識が挙げられます。確かに、働かなくても生きがいや帰属意識を持つことは可能ですし、かつての日本社会ではそれが実現できていたかもしれません。しかし、高齢の労働者の半数近くが金銭面よりもこうした生きがいや帰属意識を重視しているという事実は重要です。
とはいえ、上記のような理由は後付けのように感じることがあります。実際には、多くの人が生活のために働いているのではないでしょうか。生きがいや帰属意識を持つために働く必要があるわけではなく、もし働くことでしかそれらが得られない社会であるならば、日本社会は非常にお寒い状況にあると言えるでしょう。私は、このような日本社会に対して正直なところ、深い絶望を感じています。
この絶望的な日本社会において、高齢者になっても「有意義で、ゆとりある生き方」を実現するためには、どのようにすれば良いのでしょうか?現時点では、私が決定的な方策を見出しているわけではありませんが、これからじっくりと模索していこうと思っています。
私は現在53歳ですが、早期退職を決断しました。おそらく、65歳まで勤め続けることも可能でしたし、その安定性が重要だと考える意見もいまだに根強いでしょう。しかし、私はその道を捨て去り、現在は無職です。ただし、その間にライティングの仕事獲得や、動画編集のスキルアップ、クラウドワークスでの仕事受注、単発バイトなど、複数の手段で収入を得ようとしています。これらを全て合わせても、勤め人だったころの収入にはほど遠いかもしれません。
それでも、私は今の方が精神的に安定していると感じています。自分で仕事を選び、獲得し、それに邁進しているからです。数年後には、これらの活動で「かつての勤め人時代の収入を超えてやる!」という気持ちを持っています。達成できるかどうかはわかりませんが、少なくとも自分で選択した結果だけが残るわけです。そのため、悔いはないと思っています(笑)。
これからの後半生は、これらの仕事で生計を立てていこうと考えています。65歳を過ぎても続けられる限り続け、仕事が楽しいと感じ、やりがいを持てる限り続けたいと思っています。この日本社会において、もはや政府や社会に期待するより、自分たちで人生を作り上げていくしかないのではないかと思います。そのために、新たな人生の一歩を踏み出しました。(大げさかもしれませんが💦)
政府や社会に期待できないのであれば、自分たちで働き方改革を実現しましょう!従来の働き方なんてもうお断りで、自分たちでルールを作り、自分たちのスタイルで働いていくのです!この気概で前進していきましょう!
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