よく「失敗を恐れるな」という言葉を耳にします。しかし、失敗は誰だってしたくないものです。失敗したら怒られたり、咎められたりして、自己否定の気持ちが強くなってしまいますよね。誰だって自分を否定されたくないですし、そう考えると、やっぱり失敗は避けたいと思うのが普通です。
私は気が小さいから、余計にそう感じてしまいます。でも、そうしていると、いつまで経っても成功には近づけないとも言われます。一体、どっちが正しいんだろう、と思ってしまうこともあります。
掛布雅之さんが話した「一流打者でも7割は失敗する」ということ
元阪神タイガースの名打者、掛布雅之さんは、「プロ野球の歴史の中で、打率4割を打った選手はいません。どんな一流打者でも打率はせいぜい3割台で、7割は失敗なんです」と語っています。確かに、一流選手と呼ばれる人たちでさえ、高打率と言ってもせいぜい3割5分に届くかどうかで、その打率を終身で維持するのは至難の業です。3割打者の常連だった掛布さんも、終身打率は2割9分ほどだったと記憶しています。
その掛布さんは著書『掛布の打撃論』において、「どうせ失敗するのであれば、いい失敗をすることが大切だ」とおっしゃっています。そして、その失敗をどう成功に繋げるかこそが重要だとも語っています。
掛布さんは現役時代、調子が良く打てているときほど怖くて仕方がなかったと言います。「いつ調子が悪くなるのだろうか」と。怪我をしているとき以外は、精神的には結果が出ていないときの方が楽だったともおっしゃっています。打てているときの方が眠れず、逆に打てないときの方がむしろ眠れたとも。
しかし、名選手と言えども、いくら打っても成功するのはせいぜい3割台で、残りの7割近くは失敗に終わるのです。であれば、その7割の失敗をどう乗り越えるかが重要だと言います。掛布さん曰く、毎年のように3割を打つ打者は、その7割の失敗の内容が「良い失敗」であるということです。
掛布さんが名将棋棋士から教わったこと
掛布雅之さんは、21歳という若さで初めて打率3割を達成し、その後も大活躍を続けました。その頃、伝説的な将棋棋士・升田幸三さんと話す機会があったそうです。その際、升田さんから「君は21歳で3割を打った。では10年後に4割を打てるのか?」と問われ、掛布さんは「打てません。10年後、30歳のときも3割を打つために必死にバットを振っていると思います」と返答したそうです。
すると、升田さんは「では、21歳で打った3割と、30歳で打つ3割の違いはどこにあると思う?」と質問されました。しかし、掛布さんはその答えがわからなかったと言います。すると升田さんはこう言ったそうです。
「それは7割の失敗にあるんじゃないか。いい失敗をしなさい。失敗の内容を変えることが、君の野球の成長につながるんじゃないのか」
この言葉を受けて、掛布さんは数字だけを追い求めるのではなく、もっと大局的な視点で打撃を考えるようになったそうです。例えば、相手のエース(仮に江川卓氏)と対戦するとして、ある選手がどん詰まりのポテンヒットを3本打ち、あとはポップフライや三振を繰り返すのと、もう一方がヒットは1本だけで、残りは一歩間違えれば本塁打になる外野フライを何本も打つとした場合、後者の方が相手に相当なプレッシャーを与えることができるかもしれません。
強烈なライナーや大飛球の方が、打球音や飛距離からして相手には脅威を与えます。つまり、内容的には後者の1割が前者の3割よりもずっと濃いと言えるのです。
このように、成功するかどうか(この場合はヒットになるかどうか)は、運の要素も強くなります。掛布さんは、失敗の内容を高めることをぶれずに求め続けるべきだと、升田さんから教わったのです。
実際、掛布さんは10年後の昭和60年、打率3割、40本塁打、108打点という成績を収め、阪神タイガースの4番打者として初の日本一に貢献しました。掛布さんは研鑽を重ね、升田さんの言葉通りの結果を出したのです。おそらく、掛布さんは自己満足の高打率を目指すのではなく、チームの勝利に繋がるような内容のある打撃を心がけ、それが30歳の時に結実したのでしょう。
良い失敗を恐れずにするためには
さて、これを私たちに置き換えて考えてみたいと思います。とはいえ、簡単ではないですよ~。(笑)
実は先日、知人との飲み会でこんな話が出ました。「成功の反対の言葉は何?」。これを聞くと、反射的に「失敗」と思うかもしれませんが、実は違います。成功の反対は「何もしないこと」だというのです。つまり、何もしなければ成功などあり得ません。失敗は必ずしも成功を妨げるものではなく、むしろ失敗を経験しない限り、成功にはたどり着けないのだということです。
私もこれまでの人生で、数多くの失敗をしてきた…つもりでしたが、よく振り返ってみると、実際にはあまり失敗をしていなかったことに気付きました。むしろ、失敗しないように何もしないで、成功しなかっただけのことが実に多かったのだなと、己の半生を反省しています。(つまんねーダジャレだ💦)
仕事でうまくいかなかったことや、怒られたことって、実は「やって失敗した」というよりも、「無難に行こうとして大したことができなかった」ことの方が多かったように思います。あるいは、あえて叱られてもいいから、喧嘩腰でもいいから上司と戦う姿勢を持ってもよかったのかなとも思ったりします。ただ、失敗を極端に許さない職場にいたので、それも難しかったのですが。その人生も35年間で終え、今の私はフリーダムです(笑)。
これまでの私は、無難に行こうとして、大きなケガをせずにやり過ごしてきました。正直、達成感がない半生でしたが、それでも大けがをしなかったことで「無事これ名馬」とも言えるような生き方ができ、ある程度はうまくいった方だったのではないかと思います。でも、これからは無難に生きようとしたら、だんだん萎んでいくだけで、先細りの人生になってしまいそうです。安定というものがない状態ですから、もはや挑戦していくしかないという状況に、自分で勝手に追い込んでしまったわけです。
だからこそ、今はやるしかないと思って、あれこれと新しいことに挑戦しています。すでにいくつかは失敗していますが、反面、継続できていることもあります。これは、今までやっていなかったこと(できなかったことと言い換えてもいい)を始めたからこそ分かってきたことです。つまり、手を出さないと、やらないと、できるかどうかなんてわからないということです。
思えば、「失敗しないように無難に」と考えていた時よりも、今の方が精神的にはずっと良い状態です。私の本当の性分が果たして安定志向なのか、それとも挑戦志向なのかはわかりませんが、この4か月半で様々な経験ができたことは、決して無駄にはなっていないはずです。
ただ、その失敗を良い方向に結びつけられているかどうかはまだわかりません。無駄遣いになった部分もあるかもしれません。これを成功に繋げるためにはどうすればよいのか。その一つの答えとして思うのは、「継続できそうなことを、簡単に結論付けて投げ出さないこと」なのかなということです。
「ああ、これはダメだ!」と思ったこともいくつかあり、それに対してはすぐに放棄しましたが、続けているものもいくつかあります。旅行会社の依頼業務(AI作成文章のファクトチェック)、動画編集作業、そしてこのブログ運営です。いずれも試行錯誤しながら、自分なりにですが、徐々に形になってきていると感じていますし、これからも試行錯誤を重ねていきます。
そして、失敗を極端に否定せず、もっと受け入れる度量を自分に持ちたいと思っています。私は結構気が小さいので(笑)。
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