アメリカのテレビ界のアカデミー賞とも称される「第76回エミー賞」の授賞式が、現地時間2024年9月15日にロサンゼルスで開催されました。真田広之さんがプロデュースし主演を務めた戦国スペクタクル・ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』が、歴代最多となる18部門で受賞するという快挙を達成しました。作品賞をはじめ、フレデリック・トーイ監督が監督賞、アンナ・サワイさんが主演女優賞、そして真田さん自身が日本人として初めて主演男優賞を受賞しました。
真田さんは、活動の拠点をロサンゼルスに移し、ハリウッド映画などに出演を重ね、今回の受賞に至りました。
その真田さんの活躍ぶりをまずは追っていきます。
真田広之さんの経歴
昭和35年(1960)生まれの真田さんは、東京都出身です。5歳で芸能関係者にスカウトされ、劇団ひまわりに入団しました。
昭和41年(1966)には、真田さんの人生に大きな影響を与える千葉真一さんと出会い、千葉さんの主演作「浪曲子守唄」でデビューしました。その後、千葉さんが主催する「ジャパンアクションクラブ(JAC)」に入団し、日本舞踊の玉川流にも入門します。真田さんが時代劇にこだわり、高いレベルの演技を見せる背景には、この時期の経験があるのかもしれません。
昭和53年(1978)には、「柳生一族の陰謀」のオーディションに合格し、芸能活動を本格化させました。以降、アクション映画を中心に活躍を見せます。
真田さんが俳優として本格的に人気を博したのは1990年代からです。平成3年(1991)には大河ドラマ「太平記」で主人公・足利尊氏役を演じ、1993年には「高校教師」に主演し、人気が沸騰しました。2002年には主演作「たそがれ清兵衛」がアカデミー外国語映画賞にノミネートされました。
2003年には「ラストサムライ」にも出演し、その後ロサンゼルスに拠点を移して米国映画に出演しましたが、ハリウッドでの出演作品は主に日系人や日本人役が多かったようです。
ハリウッドに活動の場を移して約20年、真田さんは数多くの作品に出演し、現在では最もハリウッドで活躍する日本人俳優の一人となりました。そして今回の「SHOGUN 将軍」では初めて主演とプロデューサーを務め、今回の受賞に至ったのです。
「SHOGUN 将軍」
現地時間の9月15日にアメリカ・ロサンゼルスで行われた「第76回エミー賞」は、アメリカのテレビ界のアカデミー賞と称されるもので、日本人がこれまで受賞したことがありませんでした。しかし、真田さんが初めて日本人として受賞するという栄誉を得ました。
真田さんは主演男優賞の発表の際、英語で「チーム一丸となれば、奇跡は起こせる」と喜びを表しました。この後、作品賞に選ばれると、日本の時代劇に携わった人々への想いを日本語で次のように伝えています。
「あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を越えました。」
ジャパンアクションクラブでハイレベルなアクションを披露し、日本舞踊も身に付けた真田さんは、日本の美を体現し、時代劇を正当な形で継承し伝えることを常に考えていたのでしょう。
この作品で、主人公の吉井虎永役(徳川家康がモデル)を演じた真田さんは、「誤解された日本を描く時代を終わらせたい」として、京都から小道具を取り寄せ、結髪や衣装の職人を呼び、脚本を入念にチェックするなど、徹底した本物嗜好でこの作品に携わりました。
なお、この「SHOGUN 将軍」は、1980年にアメリカで三船敏郎さん、島田陽子さん(お二方とも故人)が出演してドラマ化され、その際にもエミー賞にノミネートされましたが、受賞には至りませんでした。
真田さんはインタビューで、「長年やってきた仕事だからカメラの前に立てば放っておいてもやるだろうって自分自身を見ていた」と、自らの演技について語っています。長年の経験の積み重ねが自信につながり、それが自然体で孤高の武将を演じる力となったのでしょう。
エミー賞受賞の背景
日本を舞台にする時代劇が、なぜエミー賞を受賞するほどの評価を得られたのでしょうか。ハリウッド在住の映画ジャーナリスト、猿渡由紀さんは次のように語っています。
「『将軍』の成功の背景には、現在の米国のエンターテイメント界の状況が反映されています。『将軍』は1980年代に一度放映されたリメイクですが、最近は、他の作品のリメイク版もかなり人気です。
また、ハリウッドでは従来、「白人は白人の作品しか見たがらず、字幕が嫌だ」という価値観が大勢を占めていましたが、最近の若者は「面白ければ見る」という傾向があり、特にロサンゼルスのような大都市では学校にも様々な人種の学友がいるため、白人以外の俳優が多数出演していても抵抗感が薄いそうです。事実、オールアジア人キャストの映画『クレイジー・リッチ』や、韓国の配信ドラマ『イカゲーム』、米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ゴジラ マイナスワン』が大ヒットし、字幕作品にも慣れてきたようです。
しかし、何と言っても『将軍』がエミー賞を席巻したのは、物語が面白かったからでしょう。関ヶ原合戦前夜の権力を巡る駆け引きや争いを見事に描き、細部の美術や日本の描写が素晴らしかったため、物語自体の魅力が演出され、多くの人が魅了されて今回の受賞につながったのだと思います。
真田さんも渡米され、多くの苦労をされたことと思います。言葉の壁や文化の違いを乗り越えて、名作を創り出し、演じ、そして受賞に至ったのです。
本当におめでとうございます!これからも素晴らしい演技と作品作りに邁進されますように!
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