石田三成 その人物と軌跡 1⃣順風満帆の躍進

戦国時代

石田三成の項目の更新が遅くなってます💦ようやく手を付けました。

今回は三成の足跡をたどっていきます。若い頃から振り返っていきます。

三成の生誕

石田三成の出生地は、近江国坂田郡北郷村大字石田(現在の滋賀県長浜市石田町)です。三成の父は通称を藤左衛門、あるいは佐吾右衛門といい、三成が立身後は正継と名乗り、従五位下の隠岐守に任ぜられました(石田正継)。父は、三成が奉行として封地を留守にしていた間、その封地を預かり、大過なく仕置きをしていたと言われています。また、三成が堺町奉行を兼ねていたときには、その代官として滞りなく勤めていたそうです。

「常山紀談」や「名将言行禄」などでは、三成の家は貧しかったため、三成は幼いころ近くの寺へ預けられたと記されています。しかし、三成の家が名もなき土民ではなかったことは、父正継の教養や、今日残っている石田屋敷の規模からも明らかです。南条八郎が寛政5年(1793年)に撰した「志士清談」には、三成の家は北郷村の郷士であり、同村の長であったと記されていますが、当たらずとも遠からずと思われます。

※ 常山紀談…江戸期中期に成立した逸話集で、簡潔な和文で書かれており、本文25巻、拾遺4巻、さらに同内容の付録として「雨夜燈」1巻が含まれています。著者は備前岡山藩主池田氏に仕えた徂徠学派の儒学者・湯浅常山です。

三成の名の呼び方

三成の名の読み方についてですが、松浦静山が撰した「甲子夜話」によれば、伊勢国(三重県)都の藩主・藤堂主計および石川定一郎から聞いた話として、伊勢の一身田(津市)にある専修寺は三成と関係が深い寺であり、三成の書いた仮名文が数通伝わっているものの、すべて「カヅシゲ」と書かれているとのことです。しかし、渡辺世祐氏が「稿本石田三成」を執筆する際、専修寺へ調査に行ったところ、三成の書いた仮名文は一通もなかったとされています。

また、三成は当初「三也」と自署しておりました。「三」には「カズ」と読む名乗りがあるものの、「也」は「シゲ」とは読まれません。したがって、通説通り「ミツナリ」と読むのが無難だと思われます。なお、三成の幼名は佐吉であり、ついで「三也」と自署し、「三成」と名乗るようになったのは天正12、13年頃からです。

※『甲子夜話』(かっしやわ)は、江戸時代後期に肥前国平戸藩第9代藩主の松浦清(号は静山)によって書かれた随筆集です。

寺に預けられた三成

三成が生まれたのは、永禄3年(1560年)です。この年、織田信長が桶狭間で今川義元を打ち破り、一躍名を馳せました。三成の誕生地の周辺は、小谷城に本拠を置く浅井長政の勢力圏でしたが、やがて織田氏は膨張し、浅井氏と近江の覇権を争うようになります。

三成は幼少のころ、近くの寺に預けられ、その寺で羽柴秀吉に見いだされたという話が有名ですが、その寺については諸説存在します。

さて、三成がなぜ寺に預けられたのかという点について、通説では三成が名もなき土民の子であったため、口減らしのために小僧にされたとされており、これは秀吉の幼少期と同様の話です。しかし、三成の生家はかなりの豪農であったため、当時の学校とも言える由緒ある寺院に学問のために預けられたのが真実であろうと思われます。

その寺については、次のような諸説があります。

  1. 観音寺 「真書太閤記」「絵本太閤記」「名将言行禄」
  2. 法華寺 「美濃国雑事記」「東遷基業」「霊沢山旧事記」
  3. 三珠院 「近江興地志略」「近江伊香郡志」「近江浅井郡志」
  4. 半福寺 「関原軍記大成」「石田軍記」

これらの寺がどこにあるか調べてみると次の通り。

  1. 観音寺 近江国坂田郡大原村(滋賀県坂田郡山東町朝日)

    近江国伊香郡高時村古橋(滋賀県伊香郡木之本町古橋)

  • 法華寺 C)三珠院 Ð)半福寺 古橋

場所としては、二か所に特定されます。それは、坂田郡の大原か、伊香郡の古橋です。大原は三成の生家に近く、古橋は三成の母の出身地であるため、いずれにも相当な縁故があります。

古橋については、観音寺、法華寺、三珠院、半福寺と多岐にわたりますが、三珠院は法華寺の塔頭であるため、これを一つとして考えてよいでしょう。半福寺という寺は存在せず、飯福寺の誤伝であると思われますが、飯福寺も法華寺も観音寺の別院であるため、結局のところ、これらは己高山寺院の名で総括される一系統に他ならないのです。つまり、三成ゆかりの寺院が己高山寺院の中にあったことから、その名がさまざまに伝承されたのでしょう。

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