退職する少し前ですが。ある本を読んでかなり感銘を受けました。
それは、針貝有佳さんという方の著書「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」です。
デンマークは、北欧の非常に小さな国で、人口は1,000万人にも満たない規模です。しかし、国民の豊かさという点では、世界でもトップクラスといわれています。福祉制度が充実していることで知られ、税金はやや高めではあるものの、生活設計にゆとりを持った計画を立て、それを実現しやすい環境が整っているようです。
日本は1億人を超える人口を抱える国ですので、単純に比較することは難しいかもしれません。それでも、デンマークの人々のライフスタイルには、私たちが学び、取り入れるべき点があるのではないかと感じました。
※ 当該写真は「pixabay」から抜粋したものです
今日は、デンマークがライフワークバランス先進国になった秘訣に迫ります。
※ 当該記事内容は、針貝有佳さん著の「デンマーク人は何故4時に帰っても成果を出せるのか」を参照にしています
「ヒュッゲ(心地よさ)」を大事にしている
世界ナンバーワンの国際競争力と電子政府を誇るデジタル化先進国、デンマーク。しかし、「便利でビジネスライクな国」と想像すると、必ずしもそうではありません。
東京と比べると、コペンハーゲンなどは静かで、24時間営業のコンビニやスーパーもありません。郊外の住宅の庭にはリスが現れ、緑豊かな公園が多く、自然が身近に感じられます。その公園では、春や夏になると、人々が寝転んで日光浴を楽しむ姿が見られます。
こうした光景を目にすると、デンマーク人が「ビジネスライク」な人々だとは思えません。むしろ、人間らしい生活を大切にする「幸せな国」という印象を受けます。
フォーブスの調査によると、2023年にコペンハーゲンは世界の主要都市の中で「ライフワークバランス」を実現している都市ナンバーワンに選ばれました。この結果について、フォーブスは以下のように理由を述べています。
「コペンハーゲンに暮らす人々は、ヒュッゲ(心地よさ)を大切にしています。自分や他人を尊重し、リラックスし、人生の喜びを感じることに時間を費やしています。また、職場もプライベートライフを重視しており、年間5週間の休暇、フレックスタイム制、夫婦合わせて52週間の育児休暇を提供しています。」
それにもかかわらず、国際競争力で世界一位を誇るという事実は驚くべきことです。プライベートの「ライフ」を犠牲にしなくても、「ワーク」で成果を上げられることを、デンマーク人は実現しています。言い換えれば、彼らが「ライフ」を大切にするからこそ、充実したエネルギーで「ワーク」に取り組めているのです。
「ライフ」のために「ワーク」がある
そもそも、彼らの目的意識は、私たち日本人とはいささか異なるのかもしれません。デンマーク人にとって「ワーク」の目的は「ライフ」を充実させるためにあるのでしょう。そうでなければ、「ワーク」に時間を費やす意味がないとすら考えているのではないでしょうか。「ライフ」を大切にしたいからこそ、「ワーク」を短時間で最大限の成果を出すよう追求していると言えます。「ワーク」のために「ライフ」を犠牲にしてしまうのは、本末転倒だという考え方です。
つまり、デンマーク人は「ライフ」と「ワーク」を相互補完的な関係として捉えています。「ライフ」を存分に楽しめるからこそ「ワーク」に取り組む意欲が湧き、「ワーク」の目的はあくまで「ライフ」の充実にある。そのため、短時間で最大限の成果を上げることを重視しているのです。また、「ワーク」で得られたリソース(お金・知識・スキル・人脈など)を、「ワーク」と「ライフ」のさらなる充実のために活用することで、好循環を生み出しています。このような好循環こそが、本当の意味での「ワークライフバランス」と言えるのではないでしょうか。
日本でも「ワークライフバランス」という言葉が叫ばれるようになりましたが、形だけの導入に終わってはいないでしょうか?真にこれを日常生活に生かし切れている人が、どの程度いるのか疑問です。
さらに、環境対策という堅苦しい課題を、市民が楽しめる街づくりへと転換する「発想の転換力」も、デンマーク人の優れた特徴と言えるでしょう。この柔軟な思考が、デンマーク社会を支える大きな要因の一つなのではないでしょうか。
素直なデンマーク、我慢する日本
デンマークでは、育児に男性も積極的に参画しています。「家事育児は女性が担うもの」といった考え方は、デンマークでは全く通用しません。日本でもそのような考え方は変わりつつありますが、根本的な部分ではまだ浸透していないのが現状ではないでしょうか。
その結果、男性は仕事を言い訳に家事や育児を放棄することができず、女性も家事や育児を理由に仕事を放棄することができません。女性もまた、男性と同様に収入を得ることが期待され、国からは納税者としての責任が求められます。こうした社会では、「寿退社」を望む女性や、「仕事に専念したい」と考える男性にとっては、かなり厳しい現実が待っているとも言えるでしょう。
このように考えると、「働き方改革」とは単に働く時間を短縮したり、男女共に育児に参画することを目指す形式的な部分を導入することではなく、最も重要なのは「どのようなライフスタイルを送りたいか」という点です。どのような暮らしをしたいのか、人生で何を大切にするのか、誰とどんな時間を過ごしたいのか。働き方を決めるのは「仕事の仕方」ではなく、その人の「人生の優先順位」であるべきです。
では、デンマークではなぜこのようなライフワークバランスが確立できたのでしょうか。それは、デンマーク人が自分の声と他人の声に素直に耳を傾け、その声に真摯に反応してきたからだと思われます。これに対して、日本人は見栄を張る傾向が強く、働きたくないのに働いているふりをしたり、アピールしたりすることが未だに多いのではないでしょうか。「猛烈社員」という言葉が使われた時代がありましたが、「24時間働けますか?」といった考え方は、もはや死語のように思えます。しかし、実際にはまだ日本人の根底にはそのような価値観が残っているのではないでしょうか。デンマーク人のように、自分たちの声に素直に従うところから、私たち日本人も始めるべきなのかもしれません。
では、自分たちの心の声に素直になったデンマーク人が、どのようにして仕事の効率を高めていったのか。その謎に迫っていきたいと思います。
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