デンマーク人の理想的な生き方働き方

私の人生設計

退職する少し前ですが。ある本を読んでかなり感銘を受けました。

そらは、針貝有佳さんという方の著書「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」です。


デンマークは、北欧の非常に小さな国で、人口は1,000万人にも満たない規模です。しかし、国民の豊かさという点では、世界でもトップクラスといわれています。福祉制度が充実していることで知られ、税金はやや高めではあるものの、生活設計にゆとりを持った計画を立て、それを実現しやすい環境が整っているようです。

日本は1億人を超える人口を抱える国ですので、単純に比較することは難しいかもしれません。それでも、デンマークの人々のライフスタイルには、私たちが学び、取り入れるべき点があるのではないかと感じました。

デンマーク人の勤務時間

デンマークでは、午前8時から9時頃に仕事を始める一方で、午後4時頃にはすでにオフィスから人がいなくなるのが普通のようです。これは珍しいことではなく、デンマークの日常的な光景だといわれています。

詳しく述べると、午後4時どころか、午後3時を過ぎる頃には管理職や経営幹部も帰宅準備を始め、パソコンを閉じたりデスク周りを片付けたりする姿が見られるそうです。

そして、午後4時を過ぎると、オフィス内は静まり返り、清掃員が掃除を始めます。午後5時になる頃には、オフィスは完全に空っぽになるといいます。

この筆者がデンマークに移住したのは、2009年末のことだそうです。その後、デンマーク人と結婚し、以降はデンマークでの生活を送るようになったといいます。

デンマークの一般的な家庭では、午後4時頃には子どもを迎えに行き、午後5時から6時頃には家族そろって夕食を楽しむのが日常だそうです。一方で、日本人の場合、近年は状況が多少改善されたとはいえ、夜遅くまで働き、満員の終電に乗る姿がまだ想像されるかもしれません。こうした光景は、デンマークの人々には想像がつかないものでしょう。

国際競争力世界一のデンマーク

午後4時にはきっぱりと仕事を終え、家族や友人との団らんを楽しむデンマークの人々。週末や休日には、スポーツやホームパーティー、自然の中を散策するハイキングなどを楽しむのが一般的なライフスタイルです。こうした姿を見ていると、とても仕事に精を出して一生懸命取り組んでいるようには思えないかもしれません。

しかし、このデンマークは、2022年と2023年の2年連続で国際競争力ランキングで世界1位に選ばれています。さらに、世界デジタル競争力、電子政府ランキング、環境パフォーマンスランキングでもそれぞれ1位を獲得しており、SDGs達成度でもトップ3の常連国です。このように、国際的な評価の高さは数え切れないほどです。

日本人が猛烈に働く事に意味があるのか

こうして見ていくと、日本人が猛烈に働いている割に思うような成果が出ていない現状が、なんとももったいなく感じられます。ただ時間を長く費やし、全力で働けば良いというものではなく、むしろその中に無駄が潜んでおり、改善が必要であることは明白です。

その改善のヒントが、デンマーク人のライフスタイルにあるのではないかと思われます。しかし、午後4時に仕事を切り上げ、あまり「働いている感」が見えないようなデンマーク人が、なぜ2年連続で国際競争力世界ナンバーワンに選ばれたのかは、一見しただけでは理解しにくいものです。彼らはどのように効率的に働いているのか、その働き方を支えるキャリア観や人生観とはどのようなものなのか。本書では、筆者がその答えを探り、つづっています。

とはいえ、「デンマークのことを知ったところで、それをそのまま日本に当てはめるのは無理だし、意味がないのではないか」と感じる方もいるでしょう。

確かに、海外の制度やライフスタイルをそのまま取り入れても、日本の文化や慣習には合わない場合が多いでしょう。また、日本人は「海外ではこうだから」と言われると反発を覚える傾向があるように思います。私自身、日本的な良さをどちらかというと否定的に捉えがちですが、それは海外で暮らした経験がなく、日本という枠組みの中だけで生きているからかもしれません。「隣の芝生は青い」といいますが、もし海外で暮らす機会があれば、日本の良さに気づくこともあるのかもしれません。

話が少し逸れましたが、一概に「日本には日本のやり方がある」として思考を止めるのはもったいないですし、逆に「日本はダメだ、海外の良いところを全て真似しろ」と日本を否定するのも極端です。

重要なのは、日本を否定したり、デンマークのやり方をそのまま取り入れることではなく、デンマーク人のもっと深い部分、つまり基本的な「モノの考え方」を理解することです。それは、筆者のようにデンマーク社会で暮らし、現地の人々と直接対話を重ねる中でしか見えてこない類のものかもしれません。単なる文章だけでは、その本質を完全に理解することは難しいでしょう。

まずは彼らの考え方を知り、それを理解したうえで、何を取り入れるべきか取捨選択し、日本に適した形で活用することが大切だと思います。デンマーク人の「モノの考え方」を学び、それをどのように日本で生かせるかを考えることが、真に意味のある取り組みではないでしょうか。

この書籍の内容に沿って、私自身の意見も交えながら、いくつかに分けてお話をしていきたいと思っています。

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