河井継之助 その人物 2⃣ 経世立志

幕末史

幕末の長岡藩家老・河井継之助の人物像について語っていきます。

継之助、17歳の誓いを29歳に回顧

河合継之助は、どのような学問を身につけたのでしょうか。当時、学問を学ぶにはまず目的を定め、その目的に従って知識を吸収することが大切だとされていました。つまり、昔の学生は「大学」という孔子の門人が作ったといわれる書物を読まされ、暗記させられたのです。この「大学」という書物は、名前こそ「大学」ですが、実際には「小学」とされ、学問を始める際に最初に読むべき書物とされています。ここには、徳を磨き人格を高めることが学問の目的であり、それに従って技術を磨き、具体的な知識を身につけることが大切だと記されています。継之助もまず「大学」を暗誦させられたのです。

継之助は偉人ではありますが、決して天才ではなかったでしょう。むしろ、当時においては大器晩成型であったと考えられます。運が開けたのも、かなり遅かったのではないかと思われます。これには、継之助が29歳の時に詠んだ漢詩があります。この詩は七言絶句であり、17歳の時の自分を回顧して作ったものだと言われています。

  十七誓天擬補国  十七 天に誓い 補国に擬す

  春秋廿九宿心〇  春秋 二十九 宿心たおる

  千載此機可得難  千載 この機 得ること難かるべし

  世味知来長大息  世味 知り来って 長く大息す

これは、17歳の時に天地神明に誓って、国家社会を助け補うことのできるような名臣になりたいという志を立てたことを意味しています。ところが、29歳の現在、その志はまだ実現していません。たとえ一日であっても無駄に過ごすわけにはいかないと感じています。今後もこの志に向かって邁進し続けるつもりです。しかし、この俗世間というものは、なかなか思うようにはいかないもので、嘆かわしいという意味で詠んだのではないでしょうか。

継之助の勉強方法

継之助の読書方法は、志を遂げるためにどのように本を読むべきかということに基づいていました。本を読む方法には多読と精読の二通りがありますが、継之助はたくさん読むことを避け、少ない本をじっくりと読むことを心掛けていました。

さらに、継之助は本を読むというよりも、むしろ本を書き写していたと言われています。当時、本は高価であったため写すことが一般的でしたが、書き写すことが最も効果的に内容を覚える方法だったのです。そのため、写した本の内容をよく覚えており、いざその知識を応用しようとした際に、非常に役立ったのです。

では、継之助はどのような本を写したのでしょうか?まず、名臣の語録や上奏文、そして歴史書を写しました。継之助の頭の中には、過去の日本の先輩たちが残した様々な事例が刻まれていました。歴史を学ぶことは、単に過去の記録を知ることにとどまらず、その知識を現在の状況に当てはめたり、将来の経営や政治に活かしたりするところに意義があるのです。

名臣の語録や上奏文を読んだことは、後の継之助の行動にも大きな影響を与えました。つまり、自分が行動するには、まず自分の力を発揮できる地位に就かなければならないということです。しかし、その地位に就くためには、自分が認められなければなりません。自分を上司に認めさせるためには、今日で言うところの報告書や意見書の書き方が上手でなければならないのです。このことが、後に継之助が出世するために非常に役立ったのです。

陽明学に触れる

次に、継之助にとって非常に重要な問題は、陽明学に触れたことです。儒学の中には多くの派がありますが、主流をなすのは朱子学、次いで陽明学、古学、古文辞学などです。朱子学は、人間道徳の実践を社会生活に適用し発展させるために、まず論理を正しく把握し、物事の理を極めなければならないと説いています。

一方、陽明学はその後に現れ、「知行合一」を提唱しています。陽明学では、探求する理は自分の心の中にあるとされ、人間は生まれながらにして良心を持っていると考えています。したがって、良心に従って行動すれば、それは学ばなくても立派な行動になると説いているのです。継之助は、このような陽明学に強く心を惹かれたのでした。

陽明学には二つの流れがあります。一つは内省的な性格を持ち、精神修養に主眼を置いて自分の心を陶冶することを目的とする系統です。これは中江藤樹に始まり、中村敬宇、三島中洲に至る系統です。もう一つは、行動的な性格を持ち、自分の抱負を積極的に生かしていこうとする系統です。この流れでは、自分だけで正しくしても、決して世の中を正しくすることはできないとし、多くの人々に自分の考えを植え付けていくことが求められます。この積極的な行動に体現する方法は、林子平、大塩平八郎、橋本佐内、横井小楠、雲井龍雄などに見られます。河合継之助も、むしろ陽明学の中では行動的な性格を持っていたと言えるでしょう。つまり、直情径行、一切の不善を退け、不義を排し、志に邁進するという傾向に属していたと考えられます。

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